最後の悪夢

「いや、走るとこみてたらすごく速かったから。陸上部かなあ、って」

「…………」


あのときはすごかったな。

繁華街で、凛上はよく振り返って私のことを確認しながら走ってくれていたんだ。

私は走るのが遅いから、全力ってわけではなかったと思うけど。

思い出して感動していたら、私の発言を聞いたシオンが、急に怪訝そうな顔になって、早口でこう言ったのだ。



「凛上走ってたの?」

「え? うん。走ってたよ?」

「……そう」



なにか言いたいことがありそうだったけど、シオンはなにも言わなかった。

それから何故か私の話に切り替わった。
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