最後の悪夢

足をとられながらも、空気を切るように夢中で腕を振る。足の裏でしっかり地面を踏みしめる。バネに変える。


柔らかい砂が俺の力を吸収できないくらい、強く地面を蹴る。



なにも考えられない。
無理。ていうか、最高。気持ちいい。


このままどこまでもいける気がした。あっという間に旭の姿が、数メートル先に現れた。海の風を噛む。飛ぶように駆ける。


だけど、突然、視界から彼女の姿が消えて。

体が前のめりに倒れる。地面の砂が、俺を受け止めようと近づいてくる。砂に引っ付いて固まって動かない自分の足。

目に入るもの全てに恐怖と、悲しみを覚えた。


──
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