最後の悪夢
九、傍観者達

***




砂を被った制服を払って、凛上がようやく起き上がることができるまで、少し時間がかかった。


男の子の涙なんていつぶりに見ただろう? 驚いたけど、同情した。凛上は本当に、こんなにも走るのが好きなのに、走れないなんて。


凛上は、照れくさそうに笑って、「ホントごめんね、こんなんなっちゃって」と目元を拭った。

私のとなりに立てばその身長差にいつも、ドキッとする。いつもいつも、凛上には余裕があるようだった。


ただ話したくないことはさらっと上手く流そうとする。感情的になることも避けていたよう。
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