最後の悪夢

蓋をして閉じ込めていたものが爆発したみたいだった。凛上が隣で大きな声で叫んだとき、胸が酷く苦しくなった。




私が見ていたのは上辺だけだったから。

結局目に見えないものには確信が持てないし、遅れてからようやくそのはっきりとした輪郭に気づけるものなんだね。


「俺、話聞いてもらえてよかった。旭、愚痴とか嫌いそうだから、あんまり言いたくなかった」



砂浜から上がったとき、目を腫らしている凛上はどこかすっきりしたような顔をしていた。少しでも気晴らしになったら、よかったんだけど。



「愚痴は嫌いだけど、今回のは別」

「ええ? じゃあ何?」

「弱音?」



凛上は一瞬私の目を見てから、「恥っず」と苦笑いして視線をそらした。
< 384 / 456 >

この作品をシェア

pagetop