最後の悪夢

「その後だよ、みさきちゃん」


私の思いはこの人にはもう届かないんじゃないか。
どうせ何も知らないで言い訳をするのなら、もう聞きたくない。そう思っていた。


「個室に入った鬼を殴って、湯を張った湯船に鬼をつからせて、ドライヤーを投げ入れて感電死。浴室で殺した。酷い殺し方をした!」



それが先輩の言い訳じゃないのだと分かったのは、凛上と目を合わせたからだ。


私はそんなこと知らない、と凛上の方を振り向いたら、彼はああとうとうバレてしまったんだとでも言いたげなバツが悪そうな顔をして。



今まで私は凛上の、取り繕った部分だけを見ていたんだと。






「人を殺すということは、どういう場合でも罪になるの」


河井先輩の声が刃物みたいに胸を突き刺す。犯罪者、という言葉が脳裏をよぎる。凛上から目を逸らした。
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