赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
満更でもない様子で千冬が笑った。

出会ってまだ数分なのに、もう打ち解けてる……。

私も何か話さなきゃ……!



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──



「話が合うのはわかるけどさぁ、少しくらいは話させてよ」



雑談会終了後、通学路を歩きながら口を尖らせる。

頑張って会話に参加したんだけど、2人が隙も与えないくらいのテンポで話すもんだから全然話せなかった。


雑談会とはいえ、一応治療なのに。あれじゃただの男子会だよ。



「ごめん。あんな褒められると思わなかったからつい」



薬や成分の勉強をしている先輩からべた褒めされて、頬を緩ませていた千冬。

饒舌になっていたけれど、まだいいほう。

問題は……。



「ごめんね。今度から邪魔しないよう気をつけるよ」

「もー……私の治療なんだから、ちゃんと話に入れてよね」



眉尻を下げて顔を覗き込んできた潤くんを軽く睨んだ。

というのも、来週の雑談会から潤くんも参加することになったのだ。


放課後に吸血しているのを伝えたら、『待たせたら悪いので、夜城くんも一緒にどうですか?』って提案されて。

そしたら、潤くんが間髪を入れずにオッケーしちゃったの。
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