赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

「うっ……」



1番柔らかい場所に牙が食い込んだ。

予想していた痛みよりも遥かに強く、思わず顔をしかめる。


前にも腕から吸血されたのに、場所が違うだけでこんなにも痛いなんて……。

これは首よりも痛いかもしれない……。



「ごちそうさま。大丈夫……じゃないね。ごめんね」

「ん……ちょっと痛かった」



吸血が終わって正直に吐露すると、再びハンカチで涙を拭ってもらった。

痛過ぎてソッコーで腕を振り払いたかったけど……空いているほうの手で背中をポンポンしてくれたから、なんとか耐えることができた。


私、すごく大切にされてるな。

食料だから優しくしているだけだって、一瞬でも考えた自分が恥ずかしい。



「でも、潤くんが優しくしてくれたから耐えられたよ。ありがとう」

「そう? こちらこそありがとね。っていうか、風花もボーダーだったんだね」

「あっ」



しまった! すっかり忘れてた!

その後、彼の甘い笑顔に負け、この姿のままペアルック記念に2人で写真を撮ったのだった。
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