赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

「ウチらも負けてられないね！」と、闘争心を燃やし始めた柚季ちゃん。


感性が鋭い上に豊かな吸血鬼は、芸術性も優れているので、絵が得意な人が多いと言われている。

そのため、毎年吸血鬼のクラスのポスターは、「美術展ですか？」ってくらいレベルが高い。

当然、私達人間のクラスは、よっぽど絵が上手い人じゃないと埋もれてしまいがち。


何を売るかによって集客は変わるけど、ポスターの影響も少なからずあるから、気合いを入れて早めに準備しているんだ。



その日の放課後。



「おお〜っ、気合い入ってるね」

「まぁね。去年は完売できなかったから、今年こそはって、みんなメラメラしてるの」



昼休みの続きをしに再び図書室へ向かうと、千冬と遭遇。

新刊をチェックしに来たんだって。



「今日もこの後、潤に吸血させるの？」

「ううん。ここに来る前にあげた。なんかおじいちゃんが腰を痛めたみたいで、急いで帰っちゃった」

「あらら。また痛めちゃったんだ」