赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―

切なさの夕月




────私と潤くんと千冬と翼は、みんなご近所さんで、幼い頃から一緒に過ごしていた。

私はあまり覚えてないんだけど、お母さんの話では、幼稚園に入る前から一緒に遊んでいたんだって。



『わぁ〜! じゅんくんのお花、かわいいね〜!』

『ありがとう。ふうちゃんのもかわいいよ』

『おれのもすごいぞ! 見ろ! いっぱいかいたんだぞ!』

『つばさ、おちつけ』



これは……みんなで絵を描いて見せ合った記憶。

潤くんの家で花の絵を描いた記憶だ。


昔から潤くんはいつも穏やかで、翼は元気いっぱいで負けず嫌いで、そんな翼を千冬が落ち着かせていたっけ。

みんな大人になったけど、性格はあまり変わってないかも。……翼を除いては。


休みの日は外で遊んだり、それぞれの家でゲームしたり、ご飯を食べたりしたなぁ。


あ、そういえば……。



『風花! 泣くな! みんな痛いんだぞ!』

『そういう翼だって泣いてるじゃん!』
< 262 / 316 >

この作品をシェア

pagetop