赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


潤くんのおじいちゃんとおばあちゃんの家に泊まりに行って、みんなで近くの公園に遊びに行った時。

あちこち探検して、みんな手足をケガして、わんわん泣いていたのを思い出した。


空が曇ってて薄暗かったのもあって、普段俺様キャラな翼が珍しく泣いてたんだよね。

千冬と潤くんは静かだったけど、唇を噛みしめてこらえていた様子だった。


そしたら突然、潤くんが指を舐め始めて──。



『潤、何やって……ええっ⁉ 消えた⁉』

『おじいちゃんがこっそりやってて、マネしてみた』

『マジで⁉ すげー!』



木の下で『傷が消えたー!』って盛り上がって。そしたらみんな、一気に涙が引っ込んじゃって。

その後、全員ケガを治してもらって、全身汚れていたのにも関わらず、無傷状態のまま帰宅。


『何があったの⁉』って、おじいさんとおばあさんにツッコまれたんだけど、『秘密だから!』とか言って、内緒にしてたはず。

優しい2人は、私達の意見を尊重してくれたのか、それ以上追及することはなかった。


もしここで秘密を話していたら、潤くんは引っ越しせずに済んだのかな。
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