赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―
『失礼します! あのっ、厳つい顔の茶髪の生徒、見ませんでしたか⁉』
『茶髪の子? うーん、見てないねぇ。見ましたか?』
『ううん。俺らずっとここにいたし』
『そうですか……』
職員室に残っている先生達に尋ねてみたものの、翼の姿を見た人は誰1人おらず……。
全教室は既に施錠されていて、部活動ももうすぐ終わるから、部室も閉まるはず。
行く場所はかなり限られているのに、一体どこに行っちゃったの……?
『あとは……』
音楽室やパソコン室などがある別館。
部活動生がまだ残ってると思うから、もしかしたら見た人がいるかも。
職員室を出た後、小走りで別館へ向かう。
『あっ、すみません! 翼見ませんでしたか⁉』
すると、別館の出入口から翼と同じクラスの男の子が出てきて、声をかけた。
『翼? あー、さっき部活終わりの子に鍵借りて視聴覚室に入っていったよ』
『え? なんで視聴覚室?』
『んー、俺もわかんね。テレビでも観たかったんじゃない?』