赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「……ごちそうさま」



吸血が終わり、恐る恐る潤くんの顔を覗き込んだ。


あれ……? なんか暗くない……?
もしかして、あんまり美味しくなかった⁉

どうしよう、お菓子食べすぎちゃったせい⁉



「……今日、勝手に指から吸っちゃってごめんね」

「えっ! いや全然! 治してくれて嬉しかったよ!」



なんだ良かった。
血が美味しくなかったわけじゃなくてホッとした。



「手の甲だと飲みにくいだろうし、指からも飲んでいいよ!」

「いいの……?」

「うん! 少し慣れてきたから!」



血を分け与え始めて約2週間。

優しく気遣ってくれたおかげで、吸血に対する恐怖心もだいぶ薄れてきた。



「小腹が空いた時も飲んでいいから、遠慮しないで言ってね!」

「……ありがとう。なら、時々もらうね」



本日2回目の、えくぼガッツリの笑顔。

はぁ……優しさが溢れまくってて癒される……。
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