赤い瞳に今日も溺れる―飢えた漆黒の吸血鬼―


「ここまでで何かわかりづらかったところや質問はありますか?」

「あの……カウンセリングって、全部話さないとダメですか?」



カウンセリングは、病院と学校で数回受けたことがある。

だけど私は、この時間がちょっぴり憂鬱。


小さくて静かな空間で、無表情で色々深掘りされて。

真剣に話を聞いているだけで、怒っているわけじゃないのはわかってるんだけど、圧を感じるから少し苦手なんだ。



「そうですね……原因を探るためにも、できれば情報は多いほうがいいです。ですが、思い出したくないこともあるでしょうし。そういう場合は無理に話さなくても大丈夫ですよ」

「そうですか? 良かったぁ」



緊張がスーッと解けて、思わず安堵の声を漏らした。



「カウンセリング、苦手なほうですか?」

「はい……少し怖いなぁと」


「ですよね。そういう患者さん、僕の病院でもけっこう多いです。特に、こういう静かな部屋や閉鎖的な空間だと、余計緊張しますよね。

雨村さんの要望に合わせて相談場所を変えることもできますので、そこはご心配なく」
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