契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
「はぁ……ん、あっ……」

 彼の大きな存在を自分の中に感じ、甘い悦びに再び全身が震える。心許なくて何かを掴もうと伸ばした手が、行き場をなくし宙を彷徨う。

「俺につかまって……」
 
 少し荒くなった息を吐きながら大吾さんが言うと、彼の汗ばんだ背中に手を回ししっかりと抱きついた。それだけでも彼の身体の熱さを感じ落ち着くのに、ぎゅうと抱き返してくれるから悦びすら感じる。

「八重……」
 
 大吾さんの掠れた声が耳に響き、その声がとても官能的で背中が甘く疼く。ぎゅっと抱きしめられたまま揺さぶられ、彼が全身の体重をかけてのしかかってくると突然重なりが深くなり思わず大きな声をあげてしまう。

「んっ……ああぁっ……」
 
 彼の動きがさらに速まり、私の胸の鼓動も速くする。何度となく繰り返される動きに身体は悲鳴を上げているが、それ以上の快感に頭の中が白けていく。

 明るい部屋で抱き合っているという背徳感とか、自分のどうにも止めることのできない喘ぎ声への羞恥心とかいろんな気持ちが交わって、私を一気に高みへと押し上げた。

「……八重は、俺のものだ……」
 
 彼の掠れた声が聞こえたような気がしたが、もうそのとき私は意識を半分手放していた。





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