契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 最近は大吾さん自身がメディアにも取り上げられることも多く、新作発表などで彼がテレビ出演すると視聴率が上がり、雑誌に掲載されると売り上げが伸びるらしい。
 
 と言ってもこれは面接のときのために仕入れた豆知識で、どこまでが本当か定かではないけれど。
 
 とにかく、なにが言いたいかというと。大吾さんはそれくらい忙しい人気もので、今日の会食だってただ食事をするだけじゃなかったということ。

「業者の方たちが全部やってくれるのでしたら、私ひとりでも大丈夫……っ」

 顔を上げた瞬間。次の言葉を紡ぐはずだった唇は、大吾さんの人差し指によって阻止される。そのまま唇の上で指を滑らせると、手のひらで私の頬に触れた。

「あいつは、また余計なことを。会食をキャンセルしたのは俺の一存だ。八重が気に病むことはない。それに……」
 
 私のことを真っすぐ見つめる目が、ほんのわずかに泳ぐ。

 それに──。その続きを知りたくて、少しだけ首を傾げる。


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