契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 
 食事を終え、食後のコーヒーブレイク。一緒に和子さん手作りのチーズケーキを堪能しながら、大吾さんとの話を楽しんでいた。

「さっきの話の続きだが、この店に元々あったひとつの時計だけは正しい時刻を指しているらしい。でもそれがどの時計なのか、それを知っているのはオーナー夫婦だけだ」
「大吾さんも知らないんですか?」
「ああ、残念ながら」
 
 そう言って本当に残念そうな顔をする大吾さんを見て、クスクスと笑いがこみ上げる。

 正しい時刻を示している時計は果たしてどれなのかも気になって、周りを見回した。でも腕時計がない今となっては、全くわからない。

 残念としょんぼりしながらチーズケーキを口に運びかけた、そのとき。

 キッチンから和子さんの笑い声が聞こえてきて、あちらもあちらで旦那さんとの会話を楽しんでいるんだなと微笑ましくなる。



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