契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
 だって、私も今は暇なんです。
 
 待っているだけなんて嫌。せっかく一緒に暮らすのだから、今日みたいにふたりでゆっくり過ごせる日はいろいろやってみたい。

「これ、エスプレッソメーカーですよね? 初めてなので、使い方を教えてください」
 
 急に話し出した私を見て驚いたのか、大吾さんは黙ったまま唖然としている。そんな彼の手からカップを奪い取り、エスプレッソメーカーの所定の場所に置く。

「大吾さん、これでいいですか?」
「え? あ、ああ、それでいい」
 
 大吾さんにしては珍しく慌てた様子で。でもそれをすぐにいつもの調子に戻すと、冷蔵庫から牛乳を取りだす。

「まずはここに、牛乳を入れてだな──」
 
 大吾さんは使い方をひとつひとつ丁寧に教えてくれて、それを順番に覚えていく。コーヒーが余程好きなのか、飛び出してくる言葉が専門用語過ぎて、ついていけないところもあるけれど。
それでも彼の話は丁寧で、その柔らかい口調に使い方を覚えていくのが楽しくなる。


< 64 / 172 >

この作品をシェア

pagetop