契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
「この機械は豆の粒度(りゅうど)、豆の量、抽出量、抽出温度も細かく調節できるから、自分好みのコーヒーが作れるというわけだ」
 
 大吾さんの話に真剣に耳を傾けていると、その肩を優しく抱かれ彼の身体が急接近した。どうしたのかと顔を見上げ、小首を傾げる。

「俺の話を聞いていて面白いか?」
 
 急にどうしたのかと思えばそんなことと、大吾さんの顔を見上げたままフフッと笑みが漏れてしまう。でも気にしてくれる、彼のその心遣いが嬉しくもある。

「はい、面白いですよ。知らないことを覚えていくのは、楽しくありませんか?」
 
 先のことは考えず、今を楽しむ。
 
 そう思えるようになると何もかもが目新しく見えて、つい口数が増えてしまう。

「大吾さん?」
 
 でも彼は私を見つめたまま微動だにせず、気持ちを読みにくい微妙な表情をして私のほうを見ている。何かおかしなことを言ったのだろうかと心配になって、大吾さんの顔を覗き込んだ。するとそれに気づいた大吾さんはハッとしてから、苦笑して見せた。



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