契約夫婦のはずが、極上の新婚初夜を教えられました
「さすが、セレスティアルグランドホテル……」

 都内でもトップクラスの高級ホテルで、知ってはいたけれど足を踏み入れるのは今日が初めて。

 大吾さん和曰く、ここの総支配人と親友で顔が利く──ということらしいが、類は友を呼ぶとはこういうことを言うんだとひとり納得。フロントへ行き言われた通りのことを伝えロビーで待っていると、少し離れたところから私に向かって歩いてくる女性が目に入る。
 
 その女性は私のところまで来ると横に立ち、少し腰を屈ませた。

「天海さま、お待たせいたしました。わたくし当ホテルでコンシェルジュをしております、御苑(みその)と申します。総支配人の瀬上(せがみ)より天海さまをお部屋までお連れするよう仰せつかりましたので、ご案内いたします」
 
 丁寧に挨拶をされて恐縮してしまう。普通客室までの案内はベルスタッフがするものだけど、なんでコンシェルジュなのだろうと思いながら席を立ち彼女のあとに続く。
 
 高速エレベータに乗り到着したのは、四十五階のエグゼクティブフロアー。その時点でまさかと思ったけれど、時すでに遅し。廊下を歩いて連れていかれたのは、思った通りのスイートルーム。



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