【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約
闇を纏うような黒髪を左右に短く流し、切れ長の瞳からは血のように赤い瞳で、ルネリアを値踏みするような瞳で見つめている。ルネリアがそんな男の様子に戸惑いを示すと、薄い唇に僅かに震えた。
「この屋敷に勤める侍女だな」
「は、はい。そうです。ルネリアと申します。本日からよろしくお願い致します」
「……」
男は静かにルネリアの顔を見ると、彼女から書類を受け取り、一枚ずつ捲り中身を入念に確認し始めた。そしてその中から契約における規定の紙だけを抜き取り、目の前でぐしゃりと潰して見せると、扉の傍にあった燭台にくべた。紙は瞬く間に燃え上がり、灰となって散っていく。
突然の凶行にルネリアが絶句していると、男は鼻で笑った後、意地の悪い目つきでルネリアを見据えた。