【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約

 城は、外装が全てが黒で統一され、黒の形を描くように所々濃い鼠色で縁取られている。門は薔薇の彫刻によって飾られ、門を覆うようなツタには、きちんと棘まで施されていた。躊躇いがちにその門に手をかけると、まるでルネリアを待ち構えていたかのように門が開いた。

 中は大きな噴水がその水を轟かせ、噴水を囲うように様々な色の薔薇が爛漫と咲き誇っている。そのままルネリアは進んでいくと、城に入るための、それはそれは大きな扉が見えてきた。大きな木板に青みがかった紫水晶があしらわれ、一目見ただけで息が漏れるような豪胆な装飾に彩られている。なるべく傷を着けないよう、恐る恐る扉の取っ手に手を伸ばすと、彼女がそれを掴む前に、独りでにその扉は開いた。

 ルネリアは咄嗟に一歩後ずさる。しかしその扉は押し扉ではなく引き戸で、扉を引いた主は陰からすっと姿を現した。

「あ……」

 そこにいたのは、ルネリアが今まで見た誰よりも背の高く、声も低い男だった。
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