【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約
ルネリアは、この契約が危うさを孕んでいることは、十二分に理解していた。
給料が王都の最低額の相場にすら見合わないこと、そして契約に関する条件。
主人との交流の一切を断つような契約規定は、主人が使用人と顔を合わせなくて済むように、というものだけではなく、人と顔を合わせなくて済むほど完璧な仕事をしろ、という意味だとルネリアは解釈した。
まだ、まともに働くことすら出来ていない自分が就いていい仕事ではないことは、痛いほどに分かっている。それでも可能性があるならと、ルネリアはここへやって来た。
しかし、実際の契約規定は、使用人に対して甘いもの。
さらに家令ではなく、城の主人が現れたのだ。使用人としての力量を試されているのかもしれないと、ルネリアは、じっとグレンの出方を伺う。