【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約
「ぐっグレン様! 大丈夫ですか!? 何かお怪我を……」
「していない。何も起きていない寝ろ。そして今夜、いやこれから私の部屋からどんな音が、たとえ爆発や硝子が割れるような音がしても私が呼ぶまで夜は来るな。お前が聞きたいことや、何か私に用事があったら来てもいいが、私の部屋から音が鳴ったから心配だという理由では来るな、分かったか」
「は、はい。かしこまりました。グレン様」
「分かったなら寝ろ」
「はい。お休みなさいませ」
ルネリアは礼をして、グレンの扉が閉じられるのを待とうとする。しかしグレンは眉間にしわを寄せながら「お前から部屋に戻れ。お前の扉が閉じたら私も部屋に戻る」と扉を開いたまま立った。慌ててルネリアが部屋に戻れば、そっと扉を閉じた音が隣から聞こえる。
(やっぱり、使用人であるはずの私に、相当気を遣っているみたいだ。明日から、きちんとその想いに応えられるよう働かないと)