【完結】吸血侯爵と没落メイドの囚われ初恋契約
ルネリアはグレンの行動や言動について疑問を覚えながらも、クローゼットに向けて足を動かしていく。金細工の取っ手をつまんで引くと、そこには華奢なレースが施されたドレスや、落ち着いた色合いのワンピース、華やかな色合いのボレロが所狭しと並んでいた。それらを見て驚愕しながら一番右端を探り当てると、ドレスたちに隠されるように侍女の制服がかかっていた。他のドレスに引っ掛けないようにルネリアは侍女の制服を取り、クローゼットから出して広げる。
「わぁ……」
青みがかった舛花色の布地に、薄い銀糸で縦のラインが入った侍女の制服は、柔らかな肌触りだった。明日からこれを着て仕事をするのだと、自分はとうとう職を見つけたのだと、ルネリアは顔を綻ばせた。
「明日から、頑張らないと……」
喜びを胸に留め置くようにそう呟いた瞬間、隣から重たいものが落下するような音が響く。主人の一大事であるとルネリアが慌てて部屋を飛び出すと、同じくして隣の部屋からグレンが扉を開いた。