年下クンは生意気盛り




あぁ、大丈夫そう

ちゃんと時間見て早めに部室来たからまだ居ないよね
















…私昨日、ここ数年で1番と言っても良い位のやらかしをしました。




それは





同じ部活の後輩君の大好物シュークリームを

恐らく本人が自分用に買って大事に冷蔵庫に入れて今日まで取って置いていたそのシュークリームを


裏にでっかくマジックペンで名前書いてあるにも関わらず、それに気付かず、




















はい…食べました。








幾らお腹空いてたからって部室の冷蔵庫なんて開けるんじゃなかったよ…







いやいやでもでも
だって良いとこにあったから食べてもいいかなと思うじゃん

てか名前書くなら表に書けよ









なんて言えるはずもなく、











権力皆無な先輩である私は、その謝罪の意を込めて、同じシュークリームをさっき購買で調達してきたんです






…そこでだ。
私は思い付いてしまいました。










"わんちゃん裏に同じ感じで名前書けばバレない"作戦












偽装工作とかあんまり良い気はしないんだが
、あの後輩君にバレるよりかは幾分マシなので…











だってそりゃあもう
私が食べたなんて知ったらあの男何しでかすかわからない…



















そーっとそーっと

足音に気をつけながら下に無造作に置かれたボールやらシューズやらを避けて

ゆっくり部室の冷蔵庫に手をかける











よしこのまま置けばきっとバレないから…


早く誰かこないうちに……











______________ガラッ

「先輩、何してるんですか」












___________________えっ、

「なんっ!!!!!」「わ、びっくりした」


大声出さないで鼓膜破れる、
なんて無気力で低めな声が背後にした時には

時すでに遅し。





冷蔵庫を開けてない方の手に大事に持っていたそれを

いともかんたんに声の主によって取り上げられた。



うわぁ
私の作戦がぁっ、、、、



私の顔、顔面蒼白









あぁ、あと5分早く教室出るべきだった…


ひまりちゃんの靴下に穴が開いてたなんて話に流暢に耳傾けてる場合じゃなかったよ、、

あぁやらかした私…






最悪…



















「シュークリーム?」



彼は手からひょいと奪い取ったそれを見ては不思議そうな声を上げた




「あっ、あーーねぇ!まぁいやぁその、ね!シュークリームってやっぱ美味しいよねぇ!」




「何そんな焦ってるんですか」


冷静沈着恐るべし。
顔色変えずに淡々としてる彼は



散々言っていた同じ部活の後輩君。












あぁもう降参します、無理だ無理


「うぅ、ごめんなさい…!!」






「あぁ、何?俺のシュークリーム食べたの先輩だったの?」






…えっ

え何、その反応の薄さ…



もしかして、怒ってないの…?












いやここはとりあえず謝る姿勢を

「あっ、えっとその…そうなの…本当にごめんなさい…」




「それでこれ新しいシュークリーム置いとこうって?」



「あぁそうです…その通りです」




なんだぁ、なんだなんだ後輩君も優しいとこあるじゃんか…

大人になったのかな?この程度で怒ったりしないのね…



あぁ、良い子に育って良かった(誰)










すると途端に彼の目つきが急に変わった。













あ、まずいこの目は絶対になんか企んでる


わたしにはわかるんです、その危険信号が








「で、裏にマジックペンで同じように"柊木"って書いてあたかも前からありましたよって風に偽装工作すればバレないと思ったんだ?へぇ」




あ、やっぱりやばい


しかも肝心な所が思いっきりバレてますけど…












「度胸あるね?先輩」


ニヤリと笑う意地悪な笑みは
やっぱり危ない匂いしかしない。






「あぁーいやぁ、まぁね、だってほら名前書いといた方が今度は誰にも取られたりしなくて済むでしょ、」


「先輩だけだからこんな間違いすんの」





いやぁそんな事ないと思うけど?!

なんて反論したいけど出来ない





なんてったって彼の目つきはもう私に何か意地悪しようとしてる時の顔なんだから






ここは丁重に納めて…



「ここはとりあえず納めて、なんて思ってないよね?」




えっ何エスパーですか???




「いやいやまさかあ」


えへへなんてヘラリと笑うと彼も同じように笑って




るけど目が笑ってない…!ぜんっぜん笑ってない!むしろ怒ってる?怒ってるってかなんか感情読めない表情してる




「まぁ、先輩がそんな遊んで欲しいならしょうがないから付き合ってあげるけど?」



いや?遊んで欲しい???欲しくないですけど?!!!

「全然、大丈夫でっす…」


何その声の小ささ?!

私ダサい、先輩でしょ…






すると彼はフッと笑って

「じゃあ先輩、明日から俺専属のマネージャーね」










「はいぃ?????!」




「何?嫌なの?
うーん、嫌なら仕方ないからシュークリーム盗んだのに次の日バレないように偽装工作しようとしたって話、部活のみんなにバラしてもいいん「はいいいいごめんなさい嘘ですやりますやらせて下さい…!!!」




はぁ、負けました。


もう完敗です。



勝ち誇った笑みの後輩に

項垂れる私。






「じゃ、そゆことなんで」


なんて言いながら、ぽんっと去り際に頭を触ってそのまま部室を出て行く彼



簡単に触りやがるし…


てか専属のマネージャーって何よ…



















はぁあああああああ


















ほんっと意味わかんないし
















1番意味わかんないのは














私って






















何でコイツのこと好きなの????!!













"柊木 理玖"

後輩のくせして生意気で
とことん意地悪ばかりしてくる奴。






それが私の好きな人。













-波乱の幕開け-
(ドMなのかな、私って)



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