センチメンタルナイト【完】
嗚咽を堪えて泣いている夕紀から目を逸らし、冷静に自分の本能と向き合う。
そして数秒後、俺は夕紀に跨り涙で潤んだその瞳を見下ろしていた。
導き出した結論が俺をそうさせたのだ。


「……本当にいいのか?」


いつか夕紀に髪を切ってもらうことになった時、同じように夕紀から念を押されたことがあった。
あの時から俺はずっとお前だけを想っていたなんて、きっと夕紀は気付いていないだろうな。

だって夕紀は俺をそういう対象としてみていない。
俺は夕紀にとって頼れる保護者のようなポジションであり、今こうされているのも自分の気を紛らわしたいから。
きっと逃げて楽になりたいだけなんだろ。俺もお前も。
だがそれでもいい。それで夕紀が少しでも救われるのなら。
俺の気が治まるのであれば。


「いいよ……きて、仁……」


夕紀の掠れた声に今まで我慢してきた欲望が爆発してしまった。
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