余命38日、きみに明日をあげる。

でもすぐに機嫌を戻した莉緒は、また前だけを見つめてサクラに熱い視線を送る。

嬉しそうなその横顔は、ずっと見ていてもいい。

こんなに喜ぶとは、やっぱり叶えたい願いの有力候補だろう。

ふと視線を感じて遠くを見れば。

人ごみの中にこの場にそぐわない格好をした奴がひとり。

ナオだ。

俺に向かって、いつものように屈託のない顔でニコッと笑ってくる。

なんだよナオのヤツ。いたのかよ。

こんなところで会うのは少し照れくさく、俺は苦笑いを返した。

トークショーが終わると、サイン会。サイン会は別のスペースで行われるようで、完全に見えなくなってしまった。

「も~、さいっこうだったぁ~」

それでも莉緒は、満足そうに顔を緩める。

ここまで来たからには、サインの整理券位ゲットしてなきゃまずかったな。

ナオからサイン会のことを聞いた後調べてみたが、当然のように整理券は完売だった。
< 88 / 288 >

この作品をシェア

pagetop