余命38日、きみに明日をあげる。
でもすぐに機嫌を戻した莉緒は、また前だけを見つめてサクラに熱い視線を送る。
嬉しそうなその横顔は、ずっと見ていてもいい。
こんなに喜ぶとは、やっぱり叶えたい願いの有力候補だろう。
ふと視線を感じて遠くを見れば。
人ごみの中にこの場にそぐわない格好をした奴がひとり。
ナオだ。
俺に向かって、いつものように屈託のない顔でニコッと笑ってくる。
なんだよナオのヤツ。いたのかよ。
こんなところで会うのは少し照れくさく、俺は苦笑いを返した。
トークショーが終わると、サイン会。サイン会は別のスペースで行われるようで、完全に見えなくなってしまった。
「も~、さいっこうだったぁ~」
それでも莉緒は、満足そうに顔を緩める。
ここまで来たからには、サインの整理券位ゲットしてなきゃまずかったな。
ナオからサイン会のことを聞いた後調べてみたが、当然のように整理券は完売だった。