君のブレスが切れるまで
 2017年 12月 下旬


 ようやく終業式が終わりを告げ、明日からは冬休みとなる。
 クリスマスまで後三日に差し迫っていた。あれからは警察が私の周りをうろついたりもしないし、あの三人の女生徒たちも変わらず学校へ出てくることはなかった。


 雨もこの頃は食器を割ることがなくなり、平穏な生活が戻ってきた気がする。
 結局、雨はあれから病院に行くこともなく、怪我もある程度治ってきているようだ。だけど、無理なんかすればすぐに傷口は開くかもしれない。その為、家事は一手に私が引き受けている。


 今日は二人でマンションへ帰り着き、リビングでお互いコートを脱ぐ。


「明日から冬休みだけどさ。いつ頃、実家へ帰る予定なの?」
「奏の予定に合わせるつもり。けれど帰省ラッシュを考えれば、ある程度早くに行きたいところね」
「そういえば新幹線に乗るんだっけ……」


 雨の実家はここから少し遠く、田舎の方になるらしい。大きなお屋敷を家主もいないのに、都会に置いておけるわけないか。
 そちらに行くことになれば、帰ってくるのは年明け以降になるだろう。
 できればクリスマス後に行きたいところだけど、時間が限られているというのならクリスマス前に渡すことも視野に入れなければ。


「クリスマスは予定があるのでしょ?」
「えっ⁉ いや、そんな……別に彼氏とかいないし」


 急に聞かれて私は混乱し、わかりきったことをしどろもどろになりながらも並べていく。


「予定があるのかと思っていたのだけど……」


 いや、せっかくだ。雨がこう言ってくれているんだし、この言葉に乗らせてもらおう。


「あー……うん。予定ってほどじゃないけど、ちょっとあるかな……」
「わかったわ。それじゃ、クリスマス後に行きましょう」
「……うん」


 あることを思い出し、私は元気なく頷いた。
 ギフトラッピングが台無しのままだったんだ。どうにかしないといけないけど、手頃なとこならあの時の小物屋さん行くことになるのか……。
 気乗りはしないが尋ねてみよう。


 私は雨に出かけてくる旨を話し、今日の内に赴くことになった。
 だけど、私は到着した先の光景に目を疑うことになる。
 この前まであったはずの小物屋さんが潰れていたのだ。


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