君のブレスが切れるまで
「どういたしまして」
あれ……私、憎まれ口を叩いたはずなのに、その言葉はおかしいよ。
だけど、彼女はそれ以上何も言わず、私の手を握ると一緒に階段を上がってくれる。
とてもあたたかい手。その手の温もりはまるで私を安心させるように優しくて、彼女が幽霊などではなく、この場にいるのだとそう教えてくれたようだった。
階段を上がりきってから傘を畳むと、それに付いた水滴を落とす。少しだけ振ると、濡れてない白い地面がすぐに黒くなって滲んでいく。
まるで白い心を黒く、塗りつぶしていくみたいに。
そんなことをしていると奥の部屋、位置的には私の家と同じ場所の鍵を開ける音が聞こえた。随分、鍵を開けるのが遅かったみたい。
「ちょっと錆びているからか、鍵が回りにくいの。遅くなったけど……さ、入って」
あれ……私、憎まれ口を叩いたはずなのに、その言葉はおかしいよ。
だけど、彼女はそれ以上何も言わず、私の手を握ると一緒に階段を上がってくれる。
とてもあたたかい手。その手の温もりはまるで私を安心させるように優しくて、彼女が幽霊などではなく、この場にいるのだとそう教えてくれたようだった。
階段を上がりきってから傘を畳むと、それに付いた水滴を落とす。少しだけ振ると、濡れてない白い地面がすぐに黒くなって滲んでいく。
まるで白い心を黒く、塗りつぶしていくみたいに。
そんなことをしていると奥の部屋、位置的には私の家と同じ場所の鍵を開ける音が聞こえた。随分、鍵を開けるのが遅かったみたい。
「ちょっと錆びているからか、鍵が回りにくいの。遅くなったけど……さ、入って」