政略結婚から始まる蜜愛夫婦～俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない～

　そして私の話を聞き終えると、千鶴ちゃんは興奮気味に言った。

「え？　どうしてだめなの？　むしろいいことじゃない。やっとお兄ちゃんの恋が報われると思うと、妹としてすごく嬉しいよ。それでいつ告白するの？」

「告白って……！　まだ考えられないよ」

　首をブンブンと横に振ると、千鶴ちゃんは小首を傾げた。

「どうして？　お兄ちゃんは凛々子ちゃんのことが大好きなんだもの。両想いじゃない」

「だってまだ自信を持って好きって言えないし、零士君だってこの先、どうなるかわからないでしょ？　暮らし始めて間もないもの。もしかしたら一緒に過ごす中で、私のことが嫌になるかもしれないじゃない」

　まだ生まれたての気持ち。大切にしていきたいと思うし、零士君に愛されていると実感しているからこそ、生半可な気持ちのまま想いを伝えてはいけない気がするの。

　それに私が一緒に暮らすようになって、零士君の初めて見る一面があったように、零士君も私のことでまだ知らないことがあると思う。