政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「だけど、凛々子……」

「そうしましょう。私、この辺でおいしいお店を知っているの。席空いてるか確認してみるわ」

 戸惑う零士君の声を遮って言うと、笹野さんはどこかに電話をかけ始めた。

 すると零士君はコソッと私に耳打ちする。

「本当にいいのか? 綾子と一緒に食事なんて」

 また彼の口から『綾子』と聞き、心がざわつく。

「はい、大丈夫です」

 だけど私は変なつよがりをして、平気なフリをする。

 こうすることしかできない自分がすごく滑稽だ。変なプライドが芽生え、自ら嫌な時間を過ごそうとしているのだから。

 電話を終えた笹野さんに先導され、駅からほど近いところにあるイタリアンの店へと向かった。

「いらっしゃいませ、笹野様。お越しいただき、大変光栄です」

「久しぶり。急な話だったのに対応してくれてどうもありがとう」

 笹野さんに深々と頭を下げる支配人。ここは、なかなか予約が取れないことでも有名な店だ。
< 144 / 225 >

この作品をシェア

pagetop