政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「でもプライドの高い綾子に諦めてもらうのは、案外簡単な気がするんだ」

「本当にぃ?」

「本当に」

 そう言っても千鶴は納得していない様子。

「大丈夫。早くにケリをつけるさ」

 せっかく凛々子と想いが通じ合っても、それを伝えてもらわないことにはなにも変わらない。

 凛々子から「好き」と言ってもらえるよう、綾子の問題を早くに解決させよう。

「お兄ちゃんのその言葉を信じるからね! ……早く本物の夫婦になってよね。でないと妹としては心配でお嫁にいけないから」

「なんだよ、そんな相手なんていないくせに」

 千鶴はまだ婚約していないし、恋人がいる気配もない。それなのに、なぜか意味ありげな顔をして俺を見る。

「それはどうかな? 私だって恋のひとつやふたつ、しているかもしれないでしょ?」

「なんだよ、それ。ちゃんとした相手なんだろうな」

 なんだかんだ言って、千鶴はたったふたりの兄妹。大切な妹だ。変な男に引っかかったりしないか心配にもなる。
< 157 / 225 >

この作品をシェア

pagetop