政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
「やだな、心配しすぎ。大丈夫! もう少ししたらお兄ちゃんや凛々子ちゃんにも報告するから」

 その口ぶりから、相手がいるのは間違いなさそうだ。

 これには驚きを隠せない。

「その前にお兄ちゃんは早く綾子のことをどうにかしてね! それといち早く凛々子ちゃんの不安を取り除くこと」

「わかってるよ」

 そうだ、まずは凛々子を最優先にしないといけない。

 帰ったらそれとなく伝えよう。綾子と呼ぶことになんの意味もなく、ただ幼い頃から顔見知りだということ。

 それと改めて俺が好きなのは凛々子、ただひとりだけだと。

 それから千鶴はコースに付いているデザート足らず、ケーキを追加注文。食欲旺盛さ呆れつつも、最後に千鶴に「悪い男に引っかかるなよ」と念を押して別れた。



 この日は定時から三十分過ぎて会社を出た。

 会社を出る前に凛々子にメッセージを送ったものの、いまだに既読が付かない。いつもだったらこの時間に送れば、すぐに返信がきたというのに。

 もしかしてなにかあったのか?
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