政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 目覚ましのアラーム音が聞こえてきて目を開けると、すぐ目と鼻の先に零士君の整った顔があって一気に目が覚めた。

「おはよう、凛々子」

「お、おはよう」

 もしかして寝顔を見られていたの? もしそうなら、すごく恥ずかしいんだけど。

「零士君、いつから起きていたの?」

「んー……一時間くらい前かな?」

 一時間!? じゃあ一時間もずっと寝顔を見られていたってこと?

 目を見開いて口をパクパクする私に、零士君はにっこり微笑んだ。

「大丈夫、よだれを垂らしていても、いびきをかいても凛々子なら可愛いから」

「嘘! 私、よだれを垂らして、いびきもかいてたの?」

 ギョッとなる私を見て、零士君は声を上げて笑った。

「アハハッ! 冗談だよ。スヤスヤと寝息を立てて寝ていただけ」

「もう、ひどい」

「ごめんって。でも俺は気にしないけどな。無防備な姿を見せてもらえて嬉しいし」

 ムッとなっても、こうやって簡単にほだされる。零士君は本当にずるいと思う。
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