政略結婚から始まる蜜愛夫婦～俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない～

「今日だよな？　千鶴が遊びに来るの」

「うん、お昼過ぎくらいに来るって言ってたよ。零士君も今日は早く帰ってこられるんだよね？」

「あぁ」

　千鶴ちゃんは今日、夜までいる予定。三人で夕食をとる約束もしている。なんでも千鶴ちゃんから、私と零士君に話したいことがあるようだ。

「なんだろうね、千鶴ちゃんが私たちに話したいことって」

「……そうだな」

　ワンテンポ遅れて言った零士君は、どこか不満げ。

「もしかして零士君、千鶴ちゃんが話したいことを知っているの？」

　不思議に思って聞くと、零士君の目が泳ぐ。

「いや、知らないよ」

　そう言うけど、絶対知ってるよね。どうして話してくれないんだろう。でもそれも千鶴ちゃんから聞けばわかること。

「そっか。じゃあ今日は早く帰ってきてね。おいしいご飯を作って千鶴ちゃんと待ってるから」

「わかったよ」

　零士君は「約束」と言って、口づけをする。そして深いため息を漏らして私の身体を抱き寄せた。