政略結婚から始まる蜜愛夫婦~俺様御曹司は許嫁への一途な愛を惜しまない~
 次に目が覚めたのは、ごそごそと動く気配を感じてだった。

「んっ……」

 重い瞼を開けると、目の前には凛々子の愛らしい顔があった。俺が起きたことに気づくと、面白いほど狼狽え出す。

「あっ……あの、零士君」

 きっと、どうしたらいいのかわからないんだろうな。

 凛々子の気持ちを思うと笑みが零れる。

「おはよう、凛々子」

「……おはよう」

 ワンテンポ遅れて言うと、凛々子はチラチラと俺を見る。

 こうして凛々子に笑顔を向けることは初めてだ。だから今までと態度が違う俺に戸惑っているのかもしれない。

「身体は平気?」

 気遣う俺に凛々子はやっぱり困惑した様子で「うん」と頷く。

 これは恐らく、昨日好きだと伝えた気持ちも信じてもらえていなそうだ。

 だけど当然のこと。今までさんざん凛々子にはそういう態度を取ってきたのだから。

 だったら俺の気持ちが伝わるまで、何度も告げればいい。凛々子が好きだと。

 いまだに戸惑っている凛々子の頬に触れると、びっくりして俺を見る。そんな彼女に伝えた。
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