溺愛予告~御曹司の告白躱します~
「莉子先輩が蓮兄と飲んでたのにここに一人で来たってことは喧嘩したんでしょ?それでそんな顔してるんですから、わからないほうがおかしいですよ」
あれが喧嘩と言えるのかどうかはわからない。
でも確かにいつもの水瀬だったら、風邪をひいた後輩から助けてほしいと電話が来たと知れば一緒に来てくれる気がする。
ぶっきらぼうなポーカーフェイスに見せかけて、なんだかんだ過保護で優しいのが水瀬という男なのだから。
『そんな顔』というのがどんな顔をしているのか自分では見えないけど、少なからず水瀬の言葉にショックを受けて泣きたい気分なんだから『そんな顔』をしているんだろう。
「ということで、これからガンガン口説いていこうかと思ってますから」
ボサボサの髪の毛に部屋着姿、おでこには冷却シートが貼られた状態で口説くと言われても、どうリアクションをとったらいいのかわからない。
それでも自分がひたすらに蓋をして鍵をかけて『ただの同期』という呪文までかけて封印していたはずの気持ちをあっさりと見抜かれていて、爽くんの前で取り繕うのもバカバカしくなってしまった。
なによりこのチャラくて優しい後輩である第一王子が、本気で自分を口説こうとしているとは思えない。
「ごめんね、爽くん。モテる彼氏はいらないの」
「何で?」
「…嫉妬するのが辛くて疲れるから」
前の恋で悟った。
仕事と恋愛の両立は私には無理だと。