溺愛予告~御曹司の告白躱します~
それなら、もっと穏やかな形がいい。
毎日ときめいてドキドキして、女の影が見えたら嫉妬して。
そんな恋愛は私にはもう出来ない。
ただお互いの存在で癒やし合えるような、穏やかな相手とならうまくいくかもしれない。
「俺はダメですか?」
「ふふ、論外だね。ただでさえモテるのに、過去の女の子達にも嫉妬しなきゃいけないなんて疲れ果てそう」
「ヤキモチ妬くには値しない恋愛しかしてきてないんだけどな。じゃあ蓮兄は?」
どう答えたらいいのかわからず、ただ曖昧に笑って黙って首を振る。
「確か学生時代からずっと同じ子と付き合ってたっけ。それが嫌ですか?」
いつだったか同期会で、店の外に出た水瀬が電話で別れ話をしていたのを思い出した。
確か高校から付き合ってたと聞いた。
随分長い付き合いで一途なんだなとあの頃は感心しただけだったけど…。
「きっと…色んな事を比べちゃうんだろうな…」
ぼそりと呟いてしまったのは、ずっと隠し続けていた本音をあっさりと暴かれてしまった爽くんの前だからか。
高校の頃からずっと付き合っていた彼女を、ずっと大事にしてきたんだろう。
自分にだってそれなりに彼氏がいたのを棚に上げ、過去の彼女を考えるだけでも嫉妬で身が焦がされる思いだというのに。