溺愛予告~御曹司の告白躱します~
聞いてなさそうなのにちゃんと話を聞いてくれているところも。
いつ話したかも覚えていないことをちゃんと記憶してくれているところも。
仕事の進捗を気にかけてくれているところも。
髪やメイクを変えたら気付いてくれるところも。
夜道を歩いているのを心配してくれる優しいところも。
毎回車道側を歩かせないようにしてくれるスマートなところも。
バカみたいな会話に毎度付き合ってくれる律儀なところも。
全部ぜんぶ、好きになってくださいと言わんばかりのモテ要素しかない。
そこにさらに『御曹司』なんていう世の女性達にはたまらない肩書なんかがついていた日には…。
そんな水瀬と恋愛なんかしたら…。
ただでさえ一緒に営業にいた頃と違ってどんな人に囲まれて仕事をしているかも知らないのに。
どれだけやきもきするんだろうと思うと、自分の気持ちを認めることなんて出来なかった。
「俺の周りは…俺が水瀬の御曹司ってことに価値を見出してる子ばっかりだった…」
あまりに呆然として呟くから、なんだか悪いことを言った気分になる。
「え、なんかごめん?これからもう少し御曹司っぽく扱おうか?」
「ははっ、何、御曹司っぽい扱いって」