あの夢の続きをもう1度描けたら
Episode Ⅻ

世界一の味方と愛する者


夢から醒めない。

暗闇の中でひたすら落下を続けるわたし。


消えてしまった温もりがとても切なくて。

数秒前までは確かにあったのに。


「──ヒナノ様!」


悲しみの泥沼に浸っていると、わたしを呼ぶ声がした。

アランでもユラハでもユキでもない知らない人の声。


でも姿を見たら、誰かわかってしまった。

あの時……建国記念パーティーで出会った仮面の男性、茶髪さんだ。


あの時とは違い、騎士団服に仮面をつけて、わたしのところへと進んでくる。


「あの時の……!」

「ご無事で何よりです」


「あの……ここはどこかわかりますか……?」

「あと少しで元の世界に戻るでしょう。そしてトラオムは壊れて無くなります」


元の世界ということはわたしは夢から醒める……ということ?
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