あの夢の続きをもう1度描けたら

わたしは好きな人の妹という複雑な立場だから、色々試行錯誤していたが『このままでいい』と言われたので甘えることにした。

その反面、わたしはずっと心配していた。


“もし柚子が恋愛のトラウマを抱えてしまうことになったら”


中学の時も浮気されて振られた柚子。

そしてようやくまた好きになれたのに、決して結ばれない運命だと知ってしまった。

そうなってもおかしくはなかった。


だけどそれは杞憂だった。


『……え、幼なじみに告白された?』


柚子の幼なじみとはほぼ面識がない。確か中学の時の同級生だった気がする程度。


柚子曰く、裏モードを晒せる数少ない相手らしい。

他にもそういう相手がいるか聞いてみると『家族とそいつと雛乃しかいない』ときっぱり言ったので嬉しかったりもする。


幼なじみは柚子のことがずっと大好きだったらしく、失恋した彼女のそばに寄り添って支えてくれたそうだ。

幼なじみはいい奴、とのことだったので柚子は真剣にその人と向き合っていくらしい。


柚子と姉妹になれたらなって思い描いていた時期があったけど。

お兄ちゃんと兄妹なら、もうわたしにとっては身内だ。

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