呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?


「フレイア、どうしてユフェを噴水に投げ入れたのか教えてくれないか? 植物や生き物が好きな君がユフェに危害を加えるなんて不可解だ」
 尋ねられたフレイアはキーリから離れると真面目な顔つきになる。

「それが、わたくしにもよく分からないのです。中庭を歩いていたら少し頭痛と目眩がして治まるのを待つために立ち止まりました。ユフェ様が前を走って行ったので慌てて追いかけたのですが、気づけばユフェ様が化け物になっていたんですの」
 話を聞いていたイザークは腕を組んで考え込むと、フレイアはさらに話を続けた。
「悲鳴を上げると、化け物――ユフェ様が突然人間の言葉で『これは瘴気が見せている幻覚だから』と言っていましたわ」

 するとカヴァスがフレイアに補足した。
「実は、ユフェ様は常若の国から来た妖精猫で、人間の言葉を話すことができるんだよ」
 事実を知ってフレイアは口元に手を当てて目を丸くした。
「まあっ! それなら合点がいきますわね。でもわたくしったら気が動転してユフェ様を攻撃してしまったんです。そこからは記憶も曖昧でよく覚えていませんわね」

 今まで瘴気が発生した場所はネメトン周辺の森だったのにどうして宮殿で発生してしまったのか考えもつかない。次はまたどこで瘴気が発生するか国内を注視していたが、宮殿にまで意識を向けてはいなかった。
 懐を急襲された悔しさからイザークは表情を歪める。

 すると、キーリが小脇に抱えていた羊皮紙をベッド脇のテーブルの上に広げた。それはアルボス帝国全土の地図で、北西部のネメトン手前には瘴気が発生した場所を示す赤い印がいくつも付けられていた。

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