呪われ聖女、暴君皇帝の愛猫になる 溺愛されるのがお仕事って全力で逃げたいんですが?
――夢の世界から意識が浮上したシンシアはゆっくりと目を開けた。
いつの間にかベッドの上に戻っていて、窓の外を見ると雨は止んで晴れている。
(入り口近くで眠ってしまったけど、ロッテがベッドまで運んでくれたのかな?)
もぞもぞと動いてると頭に何かが当たった。枕にしては少しだけごつごつしている。
不思議に思って身体を動かすと、それは大きな手だった。
その手の向こうからはスースーと規則正しい寝息が聞こえてくる。
(これは一体誰の手? 横で添い寝されているけど、ロッテが疲れて眠ってしまったのかな? イザーク様にこんなところを見られたら叱られるだろうから早く起こさないと)
起き上がって顔を上げたシンシアは添い寝している人物を見て目を剥いた。
その人はロッテではなかった。
(そ、そんな! 添い寝していたのはイザーク様だったの!?)
彼の寝顔を見た途端、心臓が早鐘を打つ。ドクドクとすごく煩い。
この間――森の宴を頂いてからイザークの顔を見ると、こんなことが頻繁に起こるようになった。
(イザーク様、疲れて眠っていらっしゃるのね。私はもう元気になったからベッドは好きに使ってください。って、もう心臓がさっきから煩い! パンケーキ、パンケーキを食べてなんとかしないと!!)
パンケーキに動悸を抑える効果は一切はない。
しかし、混乱しているシンシアはそれを食べればこの動悸が治ると思い込んでいた。