恋愛境界線

ゆっくりと起き上がり、室内を見渡す。


シックなグリーンのカーテン、きちんと判型別に収納されている本棚。


無駄な物が置かれていないPCデスクに、無駄に大きいこのダブルベッド。


どれ一つ取っても、全く見覚えがない。


「わっ……!」


思わず声を発してしまった口元まで、勢い良く布団を引っ張る。


落ち着け、落ち着け。


朝起きたら知らない部屋で、しかも下着姿とか、今時ドラマでだってこんな展開はないと思う。


何、これ。まだ夢の中?


それにしては、ドクドク鳴っている自分の心臓の煩さとか、妙にリアルだ。


「ひっ……!」


< 2 / 621 >

この作品をシェア

pagetop