恋愛境界線
自分一人だけだと思っていたベッドの端で、何かがモゾモゾと動いた。
布団からはみ出した頭がゆっくりと持ち上がる。
とっさに身体を隠そうと、布団の中に潜り込んだ私に、その人物は寝起きの少し掠れた声で私の名前を口にした。
「……芹沢君、起きたのか?」
布団の中からチラリと相手の顔を覗くと、そこにいたのは昨日夢に出てきた私の上司――。
「わ、若宮課長!?」
「君、朝から煩いよ」
「だって、どうして課長が……」
「まさかとは思うけど、昨日のこと覚えてないとか言うんじゃないだろうな?」
ベッドから上半身を起こし、若宮課長が気だるげに前髪を掻き上げた。