恋愛境界線

「課長には、この繊細な女心はわかりっこないんですよぉ」


どの口が繊細だなんて言うんだ、と課長が冷やかな目で私を見つめる。


「君たち女性は表面上は殊勝な態度を取っていても、裏ではがさつで厚かましいじゃないか」


「そ、そんなことないですよっ」


「私は姉で、女性のそういう面を嫌というほど見てきたからね。女性はすぐ感情的になるし」


その上、気まぐれに振り回されるこっちのことは、いつだって全くのお構いなしだ。


そんな女性に対する恨み辛みを、なぜか私に向かってぶつけてくる。道理で、女性に興味が持てなくなるはずだ。


そうなると、課長がなぜこの仕事に就いているのか不思議に思えてくるけど。


「課長!すみませんでした!!」


謝りますから、その呪いみたいな恨み言はもう、もう、その辺で勘弁して下さい……!


女性に対してというより、次第に私個人に対する当てつけみたいに聞こえてきて、居た堪れないったらない。


「課長が今後深山さんと二人きりで旅行することがあっても、深山さんのお宅にお泊まりしても、もうホモだなんて思いませんから!」


「深山君と今後旅行する予定は全くないし、泊まる機会もないし、謝るところがズレている」


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