恋愛境界線
また?と思いながら、舌先で位置を探りながら青のりを舐め取る。
すると、またしてもさっき睨んでいた時と同じ様に、渚の眉間には僅かにシワが寄った。
「何?」
「……あのさ、あんまりそういうこと、若宮さんの前とかでするなよ?」
「何で?……あー、いや、うん。ごめん。渚の前だったから、つい。あまり行儀が良いとは言い難いもんね」
「や、そういう意味じゃないんだけど。まぁ、とにかく気を付けろ」
渚の言葉に首を捻りつつ、「よく判んないけど、気を付けるよ」と答えながら、新たに皿に載せたたこ焼きの上に、ソース、マヨネーズ、青のり、鰹節の順でトッピングして行く。
「気を付けろ、で思い出したんだけど、遥が携わってたパクトケースの案、流れたんだって?」
どうして知ってるの?と言いたいところだけれど、社内のことに精通している渚を相手に、それは愚問だ。
思い出すだけで未だに落ち込みそうになる一件に、『うん』とは答えず、ほんのりと苦笑いだけを返した。