恋愛境界線
これを黙って受け取ってくれなかった課長を恨みたくなる。
や、悪いのは、若宮課長でも、ボタンを押そうとしていた時に声を掛けてきた渚でもない。
勿論、私でもなく、需要がどの辺にあるのか判らないこの飲み物を、自販機のラインナップに加えた販売元だけど。
それとも、この自販機メーカーと設置の契約を結んだうちの社員を恨むべきか。
見た目だけなら抹茶オレと何ら変わらない手中の飲み物を睨みながら、つらつらと考える。
「……どうした?異物でも混入しているのか?」
「いえ、異物ではなくゴーヤが。ある意味、異物と呼べなくもないですが」
「何を訳の判らないことを言っているんだ、君は」
訳の判らないことなんて、私は何一つ言ってないのに。
課長に対する不満と、もしかしたら美味しいかもしれないというささやかな期待を胸に、意を決して一口飲み込む。
結果、予想を裏切らない不味さ――というより、予想以上の不味さに、私は思いっきり顔を顰めた。