恋愛境界線

課長の言うことはいつも正しくて、だからこそ余計に言葉一つ一つが胸に突き刺さる。


「判ってはいるんですけど、認める前に腹が立つというか……、認めたくなくて激しく落ち込むというか」


ごにょごにょと、取り留めのない言葉を洩らす私に、深山さんは黙って聞いていてくれる。


さっきの若宮課長の態度を思い出しながら話していたら、つい甘える様に愚痴が零れた。


「というか、もしかしたら課長は、私のことなんてもう見限ってるのかもしれないですけど」


きついのは何も今日に限ったことじゃないけれど、今日の態度は単にそれだけじゃなくて、徹底した無関心さの様な冷たさを感じた。


私が渚と付き合って浮かれてミスをしたんじゃないかと、課長にしてみれば軽蔑に値する誤解があったからかもしれないけれど。


だけど、その誤解を解いた後も、冷たい態度は依然として変わらなかったってことは、つまりは、そういうことなのかもしれない――。


深山さんも深山さんで、「確かに、さっきの若宮さんはいつもとは少し違った様に感じたけれど」なんて言う。


考えれば考えるほど、本当に若宮課長に見限られた様な気持ちになってきた。


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