恋愛境界線
以前と似た様な光景に既視感を覚える。
あの時と違うのは、私が前夜の記憶を忘れていないってことだ。
「あの、おはよう、ござい……ます」
ハッキリと覚えているだけに、若宮課長の顔をまともに見られない。
けれど、視線を逸らした先にあった時計の時刻に、慌てて課長の方を見た。
今は恥ずかしがってる場合じゃない……!
「わ、若宮課長!時間が……っ!早くしないと、遅刻……!」
「遅刻?君はまだ寝惚けているみたいだね。今日は休みだよ」
「へ?休み……あっ、土曜日か。良かったぁ……」
本気で焦った分、その事実にホッとして一気に脱力する。
プロジェクトもとりあえず一段落し、休日出勤をしなければいけない様な差し迫った案件も抱えていない。
「あっ、でも、ハムを迎えに行かなくちゃいけないんだ!」